「人間失格」をまんがで読破してみた
太宰治の作品はいくつかあり、その中でも有名なのが「走れメロス」や「人間失格」。殆どの人は内容はともかくそのタイトルは聞いたことがあるはず。「走れメロス」は小学生の授業で習った記憶がある。
それくらい知る機会がある。にも関わらず、私は「人間失格」の名を知っていても内容までは知らなかった。有名すぎて”いつか読むだろう”と後回しにしてきた結果、今もその小説は読んでいないのです。
そして最近見かけた「人間失格」。そのタイトルの横に”まんがで読破”と書いてあった。
これはパッと読めるのは間違いない。でも名作を、しかも小説を読むのが特に苦でないのに安易に漫画で読んでしまっていいのだろうか・・。まずはやっぱり小説を読むべきなのでは・・と数秒悩んだ。。短時間悩んでみてやっぱり気になるので買ってみた。これを読んでもまたの機会に小説を読めばいい。そうしたら”漫画でいいのだろうか・・”というふうに悶々することもなくなるだろうから。
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読んでみて思ったのが主人公のかなりのダメ人間っぷり。これは自伝的小説なので主人公は太宰治自身。ヒモのような暮らしぶり、自殺未遂や薬漬けといった病んだ感じ。ちょっとショックだった。いくらタイトルが人間失格といってもこんなことは想像していなかった。どこか自分の中で厳格なイメージがあっただけに尚更。
そしてそのイメージは塗り替えられ、酒と女、相手を信頼することがなく表面上でしか人と関わらず、信頼したとしてもその相手と自殺しようとするか裏切られるか。この不幸なイメージへと変わった。
でもタイトルにある”人間失格”ではない。多くの作品を残して、読み手に何かしら残せているのだからダメ人間なんかではない。
読み終えて改めて太宰治がどんな人だったか気になって調べてみた。
1909年生まれで38歳で多摩川入水自殺。「人間失格」完成の一ヶ月後のこと。この時妻はいたが愛人とともに死を選ぶ。38年の生涯のうち4回の自殺未遂。
これだけで十分凄い人生を歩んでいたことがわかる。
確かに漫画にあるような人生を送っていたみたいだが、やはりマンガでは書ききれていない部分もありそう。そこが気になるのなら小説を読むしかない。でも漫画を読んでしまった今、「人間失格」を読んだ気になっているので小説まで手が伸びるかは微妙なところ。
小説は面倒だけど内容は知りたいという人には、手っ取り早く読めるしおすすめ。小説をよんでいないのでこの漫画がどこまで再現されているかはわからないけど、あらかたわかればいいというなら問題ない。
話はかわるけれど、この”まんがで読破”シリーズはかなりの数の作品がでている。カフカの「変身」、マルクスの「資本論」、セルバンテスの「ドン・キホーテ」、ダーウィンの「種の起源」はちょっと読んでみたい。
- 作者: 太宰治,バラエティアートワークス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 文庫
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