灰色の朝のモノローグ

からっぽになって、それでまた寝るの。おやすみなさい。

人間のあり方に考えさせられる。子どもによる殺戮の世界が恐ろしすぎる。

『蝿の王』。そのタイトルからして目を引くイギリス小説。1954年に発表されたものです。表紙には一斉ロードショーの文字があり、映画化されているのだと知りました。

子どもたちの乗った飛行機が攻撃を受け、孤島に不時着。そこに大人の姿はなく、子どもだけが取り残された。といったところからこの話は始まります。

ルールをつくり秩序を保とうと、始めは協力していた。しかし狼煙をあげ救助を優先する者と、それよりも食べることを優先し、自分のやりたいようにやるもの、そのふたつが対立。次第に人間の獣の部分があらわになっていった。そこには血の流れる残酷な世界しかない。

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登場する子どもが多いが、丁寧な描写によって一人ひとりの個性がしっかりと伝えられている。

そのためか、展開は遅め。”蝿の王”とは一体なんなんだ・・と、その疑問が解決したのはページの半分を少し過ぎてからでした。そしてゆったりとしていた話が少しずつ勢いをつけていくのもこのあたりから。あるとこをきっかけにその勢いは激しくなり、突然衝撃が走ったような感じでした。

そこからは目が離せず、ひたすら話を辿って行きました。

蝿の王、つまりはベルゼブブ。聖書に出てくるベルゼブブについて”悪”のイメージというだけでよく知らないのですが・・。この王と対峙しているシーンが、タイトルにもなっていることから重要なところなのだとわかります。

そしてこの蝿の王が登場するのはほんの一部。しかしそれは、読んでいて重くのしかかってくるような、とてもインパクトのあるものでした。

 

 読んでちょっと思い出したのがLOSTという海外ドラマ。あのドラマも結構ハマりました。でもシーズンが増えっていって、途中からわけわからなくなってしまいましたが・・。そういう人間の本質を捉えたものという点で共通していますね。

難しい局面に立たされた時、その人本来の姿が現れるのかもしれませんね。

蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)