どう背中を押されるかはあなた次第。絶望した時に読むべき一冊
表紙からして異様な存在感がある『八本脚の蝶』。
ぱっと見ただけではよくわからないから、それがまた目を引く。
ところどころ散りばめられた、自分を呪う言葉と生きることへの恐怖心。
そういった中での最後の締めくくりは衝撃を受けた。
最後の言葉。私はそれまでさらりと読んでいたのに、その時ばかりは心のどこかで怖さを感じた。
理解し難いことがたくさん書いてあって、全く知りもしない本がたくさん登場していた(ヘルタースケルターは聞いたことあったから買ってみた)。本の内容も理解するのは難しそうなものばかり。
でも本以外の彼女自身のことが書かれている時は共感できることもあった。
コスメやファッションの話題は、おしゃれに気を遣う同じ女子なんだと身近にも感じた。
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だけどやっぱり彼女は違う世界にいるみたいな、そんな時がある。
なんでそんな風に感じるのだろうか。
ファッションも化粧も、好きな本屋や美術館にも行って楽しい時間を過ごし、現実を満喫しているようなのに、なぜ現実から消えようとするのか。
現実を嘆き悲しみ、怒りとかそんな”負”ばかりではなく、読んでいて少なからず楽しそうな様子が感じ取れたのに。
私もすべてが嫌になるときはります。
消えてしまいたいとかそういう気持ちになるのもわかりました。
でも彼女はそれ以上に怖がっていた。私にはわからなかった。
それは、彼女とは世界の捉え方が違うから。
始めはパラパラと深く考えずに読んでいたけど、ちょっとした空いた時間にもう一度読んでみると、前回読んだ時よりも少しだけ入り込んだ。
また空いた時間に手にとり読む。
また更に深く読み込んだ。
なんだろう。だんだんと引きつけられる感じ。
自分も引っ張り込まれそうな、そんな気がしました。
私も悲観的になったらこうなってしまうんだろうか・・と怖くもなり・・。
私には”毒”のような存在でもある気がします。
そんなふうに感じる本は今まで読んだことがありませんでした。
彼女は世界を知りすぎた、そういうことなのかな・・?
私は本を沢山読んで世界を広げているわけではなく、それはそれで損しているとも思います。
広がりすぎた世界で自分のいる意味も場所も見失ってしまったら、それはどういうことか。
いい方にも悪い方にも転がる、そんな不安定な状況なのかもしれないですね。
原文は2001年から2003年の間でネット上にアップされ、今も存続しているとのこと。
どこかで怖ろしさを感じている私はまだ見てはいない。
でもこの本が手元にあるだけで十分。
きっとまた、ふとした時に読んでしまうに違いありません。