胸に響く。愛に溢れる教授の言葉
恩師といえる人に今まで会ったことがあるだろうか・・(ここでいう恩師はただ勉強を教えてもらった学校の先生ではなく、自分に影響を与え恩を感じる先生)。昔を思い起こしてみたけど多分私の中ではまだいない。一番近い存在なのは習い事をしてた時に教えてくれた先生かもしれないが、恩師と言えるかは定かでない。それくらい人の人生に影響を与えるのは難しい。
義務教育の場では国語や算数などの科目や、ある程度の道徳は教えてくれる。でも人間のもっと根本、生と死、愛について教えてくれる機会はそうはない。教えてくれても表面的なものだろう。とはいえ例えそれを小中学生に教えても理解は難しい。これはある程度大人になってからのほうがより理解でき、考えさせられるということ。そして大人になったとしてもその機会を与えられることはあまりないということ。
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『モリー先生との火曜日』というノンフィクション本。タイトルにもあるモリー先生が生と死、愛について語る一つ一つがとても奥深い。そしてその魅力的な人柄は恩師と呼ばれるのも頷ける。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)という神経疾患に侵され余命二年を宣告されるのだが、本人自身が死に向き合ったからこそ生と死について説得力がある。
この本にはモリーの好きないくつかの詩や思想が登場することから、こられらがモリーに与えた影響は大きかったものだとわかる。そしてそこに自身の発想が加わり、これがモリーの魅力となっているのだと思う。
経営や法律の世界の人からすると、世間知らずなおめでたい考え方は将来の役に立たないという。確かに愛だのなんだのでお金を稼ぐことは難しい。でもそういったことを教えられた人たちは病気の恩師の元へしょっちゅうやってきたり、手紙をよこしたり。訪ねる人は気を遣うためでなく、恩師が気遣ってくれるからこそ来る。つまり話を聞いてもらえるといった気遣いがあるから来る。自分の病気の苦痛は話さず、訪れた人たちの話を聞く。いかに人との触れ合いや繋がりを大事にしているのがよく分かる。
病気だからと悲観せず物事に対する寛容さには驚いたと同時に羨ましくもある。
いずれ死ぬことを認めて、いつ死んでもいいように準備すること。そのほうがずっといい。そうしてこそ、生きている間、はるかに真剣に人生に取り組むことができる。
なんだか死を意識して生きるのは嫌な感じがしたけれど、確かにそうやって考えればいかに自分が時間を無駄にしているのかが認識できる。落ち込んで”もうやだな・・”と思った時にこれを思い出せば気分転換もできる気がする。それから、その”準備”を私も考えてみたけどなかなか思いつかない。小さなことはたくさんあるけど、もっと他に大きな、大事なことがあるはずなのに・・。
私もこういった人生についての授業を受けてみたかった。共感できるできないは別にして、物事に対する視野が広がるのは間違いないはずだから。
- 作者: ミッチアルボム,Mitch Albom,別宮貞徳
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1998/09
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